皆さんこんにちは。
Spolink JAPANコアメンバーのいっきゅー医学生(@ikkyusportsdr)です。
なかなかコロナウイルスの猛威が収まらず、普段の生活に戻れていない方も多いのではないでしょうか。
そんな中、ようやく私の大学では様々な制約や感染防止策を行いながらの不自由なものではありますが、部活動が再開されました!
Jリーグやプロ野球も観客を動員しながらの試合が開始されるなど、少しずつスポーツも日常に戻ってきていますね。
最近感染者数が増加に転じてきていますが、何とか収束に向かってほしいものです。
第13回Spolink セミナーが開催されました!
さて、Spolinkのセミナーも早いもので第13回を迎えています。
今回は「スポーツ内科外来の実際」というテーマで、
大阪大学医学部付属病院 糖尿病・内分泌内科
大久保病院 スポーツ内科
日本内科学会認定内科医 原 知之先生
にご講演頂きました。
原先生は以前Spolinkセミナーでご講演をいただいた田中祐貴先生の一番弟子ということで、スポーツ内科で普段から多くのアスリートを診療されている先生です。
また、先生ご自身も野球でイップスを経験されていたり、高校のバスケットボールで近畿大会ベスト8まで行っていたりとかなりのアスリートです。
医師の方がスポーツをされていればアスリートの気持ちも分かりやすいので、相談しやすいですよね!
そんな原先生に実際の外来での経験や、対応を実際の症例を交えながらお話しいただきました。
スポーツ外来は一味違う?
まず初めにスポーツ外来の概要をお話しいただきました。
原先生の病院では来院する方の平均年齢が15.9歳と若く、ジュニアアスリートが88パーセントと多いそうです。
そのため、外来の時間を木曜日16:00-19:00という部活動帰りに行きやすい時間に設定しているというお話がありました。
高いレベルで部活動やクラブでスポーツをしているジュニアアスリートほど病院に行くために練習を休みにくいとため、こうした配慮はアスリートが病院を受診しやすくなるために非常に大事だということでした。
一般の整形外科の外来は学校の授業や仕事を休んだり早退する必要がある時間帯なことが多いと思うので、こうした配慮は今まで病院に行かず我慢していたアスリートを受診させるためにも重要なことだと感じました。
そして、スポーツ外来特有だなと思ったのは病院の評価の広がり方についてでした。
ネットが普及している現在でも、親同士やアスリート同士での口コミで広がることが多いそうです。
具体的に何が一番違うのかというと受診してよかったと思われても、周りのレベルが上がってしまうことを懸念してそれを広めたくないということがあるそうです。
確かにアスリート目線だと自分のコンディションが良くなったり、悩んでいた症状改善されればされるほど、ライバルの調子も同じように上がってしまうかもしれないと考えて言いたくないという気持ちは十分に理解できます。
しかし病院や医師にとってはなかなか歯がゆい問題になりそうですね…
次に、実際の症例を見ながらスポーツ内科4大疾患として、スポーツ貧血、運動誘発性喘息、女性アスリートの無月経、オーバートレーニング症候群についてお話しいただきました。
どの症例も聞いたことがあるものでしたが、実際の血液検査のデータや経過を見ながらお話を聞いていると、スポーツ内科の疾患に精通していないと見逃してしまいそうなものが多くありました。
スポーツ貧血では、軽度の貧血から、練習を頑張る、疲労困憊で食事が十分にとれない、さらにパフォーマンスが低下するために余計に練習を頑張ってしまうといった悪循環にヘモグロビン値が6.6g/dLまで下がってしまった症例が示されました。
軽いアップやランメニューでも息切れ、立ちくらみまで現れていたということで、スポーツをしているだけでこれだけの症状にまでなってしまうスポーツ貧血の恐ろしさを実感しました。
貧血といっても、鉄欠乏性貧血、溶血性貧血、再生不良性貧血など挙げればきりがないくらい疾患がありますが、診断の際にスポーツ貧血という候補が頭にないと絶対に診断はできないので、しっかり学生のうちから知っておく必要を感じました。
さらに、オーバートレーニング症候群では小学生の陸上選手が走りたくない、外にでたくないというようにまでなってしまったという事例が紹介されました。
精神科受診でうつ病と診断されてしまったということで、オーバートレーニング症候群の診断や他疾患の合併を見抜くのは難しいということでした。
Spolinkのような団体がスポーツ内科診療やスポーツ内科疾患を周知させていくことが、困っているアスリートに重要になりますね。
今回のお話を通じてスポーツ内科疾患に悩んでいるアスリートは思ったよりも多いということが分かりました。
少しでもスポーツ内科疾患の概念を広めていって疾患が発見され救われるアスリートが増やしていく必要がありますね。
原 知之先生、今回は貴重なお話をありがとうございました!
参加された方の感想
ここでは紹介しきれないくらい多くの皆さんの反応がありました!!
最近、思うのは内臓の働きがいかに大事かってこと。呼吸で酸素を、食事で栄養素を取り込む。これがないと身体って動かないんです。けど、それを吸収してくれる内臓が機能低下していると結局、身体の源が取り込めない。そういう意味でスポーツ内科医の存在は貴重だなと改めて感じました。#SpolinkJAPAN https://t.co/LVd375bN7G
— keisuke_yanagiya (@1007_nagi) July 15, 2020
https://twitter.com/eiyoushikameko/status/1283411391274086401?s=20
個人的に内容として1番面白かったのは、ステロイドを内服してるPt.の貧血の話
そのパターンあるのかぁという感じでした
こういう話を聞くと、やはり医学の世界は知識や手技だけじゃなく経験がモノを言う部分も大きいなぁと再確認します https://t.co/1ikNISnMnI
— 中西 秀 〜Dr.しゅうチャンネル〜 (@DrShuNakanishi) July 15, 2020
スポーツ内科の話って聞くたびに「大事だな」と思わされる。
大事なのは気付いて、しっかりと対応してあげること。
「メンタル弱いな〜」
では片付けられないからね。スポーツ内科のDr.が近くにいればすごく心強いと思う。
静岡ってスポーツ内科の先生いるのかなぁ? https://t.co/RLCYN0tH25
— 海野祐生 (@yypopo1) July 15, 2020
感想をみていると、色々な職種の方々が興味を持って受講されていました。
これからどんどんスポーツ内科が身近な存在になっていきそうですね。
次回のセミナー予定
次回の第14回Spolinkセミナーは7月22日水曜日21:00開始「海外トレーナーの事情 ~日本人の強みと海外から学ぶこと~」
というテーマでSpolinkメンバーの柔道整復師の中島裕之さん、オランダ公認フィジオセラピスト平出康彦さん、そしてファシリテーターとしておなじみJSPO-AT、鍼灸師の奥村正樹さんそれぞれが海外での経験を交えながら対談形式でお話しします。
中島さんはオーストラリア、平出さんはオランダ、奥村さんはタイやイギリスとそれぞれ異なる国で活躍されていたということも興味深いですね。
また、三人の持つ資格もそれぞれ違うので色々な角度からお話が聞けると思います!
お申し込みはこちらからどうぞ!!