【第49回 Spolink & encounterセミナーレポート】医療現場とスポーツ現場での物理療法の活用〜それぞれのエネルギー特性を理解しよう~

【第49 Spolink & encounterセミナーレポート】

医療現場とスポーツ現場での物理療法の活用〜それぞれのエネルギー特性を理解しよう~

 

こんにちは、ブログ班の錦戸(@Nishi_249)です。

日本は夏を前にして、30度近い気温が続いている頃でしょうか?

僕の住んでいるモンゴルでは、半袖で過ごすような暑さ日の、翌日に吹雪が来たりするような不安定な気候で過ごす毎日です。


※モンゴルの近況

さて、今回は2021519日(水)に行われたセミナーレポートとなります。

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登壇者紹介

【講師】高橋 智士 先生(@denkidesukaaa

・酒井医療株式会社リハビリテーション推進部フィジオプロモーション部長代理
・剣道2
・空手初段

 【ファシリテーター】奥村 正樹 先生(@Masa19901

Spolink JAPAN代表
JSPO-AT / 鍼灸師

 

講師の高橋先生は、スポーツ団体を始め、医療大学や専門学校、病院などで年間120回にもおよぶ物理療法セミナーをされておられる方です。

今回のセミナーは、物理療法の概論や作用機序など、基本部分が中心でした。

基礎でありながらも目から鱗の情報が多く、非常に深い内容であったと感じました。

物理療法とは

はじめに、物理用法は「物理的な刺激を体の外から加えて、生体反応を出すもの」であり、古くから行われている温泉療法(湯治)やアイシングもその一つです。

それが派生していき、多くの機械が発明されていきました。

 

物理療法の分類

 ・温熱療法(伝導熱、放射熱、エネルギー変換熱)

 ・寒冷療法(伝導冷却法、対流冷却法、気化冷却法、極低温療法)

 ・光線療法(紫外線療法、レーザー療法、赤外線療法)

 ・水治療法(ハバードタンク、泡沫浴、渦流浴)

 ・電気刺激(治療的電気刺激療法、機能的電気刺激療法)

 ・力学的器機を用いた治療法(牽引療法、持続的他動運動療法)

 

これら様々な機械があるものの

 「どの種類の電気を使うのか」

 「どれくらい温度を上げるのか」など

物理エネルギーの特性を知ることが重要となるようです。

 

これを料理で例えると

「塩や胡椒、醤油がどんな味か意味を知らなければ味付けもできない。」

そのように、表現されていました。

物理療法はあくまでも補助であり、まずは正しい鑑別必要となります。

「温熱であれば、表面を温めるのか、深部を温めるのか。」

「電気であれば治療を目的とするのか、機能改善を目的とするのか」など

それに加えて、狙う組織の場所や状態を踏まえた効果的な物療エネルギーの選択肢位も考慮する。

そして、怪我の原因である身体のバランスの改善(機能的なトレーニングの指導)を行うことで、早期回復と再発しづらい身体づくりを目指すことができるようです。 

どの怪我に対する治療にもほぼ必ず物理療法が関与しており、その中でも電流(神経系)・温熱(筋肉、軟部組織)・圧力波(腱)は治療に用いられる3大スタンダードエネルギーとされているそうです。

 

 

電流

経皮的末梢神経電気刺激法(TENS)や干渉電流療法、ハイボルテージ(高電圧電気刺激法)などがあり、主な効果は3つ。

 鎮痛効果

 機能改善・向上効果

 組織修復効果

日常的な診療において、ただ一方的に電気をかけるのではなく、何のために使うのかも患者さんに伝えるとより良いと考えられているそうです。

 「肩に鎮痛効果のある電気をかけますね」

 「膝の機能改善をするための電気をかけますね」 など

 

電気には周波数があり、1Hz1秒間に1回の刺激、10Hzであれば1秒間に10回の刺激が入るということになります。周波数は低周波(1000Hz以下)、中周波(1001-10000Hz)、

高周波(10001Hz以上)に分類されており、人の神経が反応するのは低周波領域。干渉波(中周波)やハイボルテージ(高周波)などは皮膚の抵抗を落として、低周波を人体に送っている仕組みになっているようです。

Hzの周波数を用いればいいかについては、以下の3つを抑えておけば、まずは大丈夫とのことでした。

~基本周波数~

 急性期(神経) 100-200Hz 交感神経を興奮させる

 慢性期(C神経)   1-10Hz 交感神経を抑制させる

            15-30Hz 交感神経を抑制させる

 筋肉の運動周波数   30-80Hz 筋肉トレーニング、筋緊張緩和

 

温熱

組織の温度を上げることが重要であり、温度上昇が及ぼす生理的変化は以下の通りとなります。

 1℃  血流の増加や組織の代謝促進

 2℃  運動及び知覚神経の伝達速度の増加

 3-4℃ 腱や関節嚢及び瘢痕組織の膠原線維の伸展性増加

 

治療に用いるならば、組織が39℃まで上がるまで熱を加える必要があります。

以前であれば、10分間くらい温めることもありましたが、現在は器機が進化して数分で可能となりました。それが超音波やラジオ波。

超音波は直線で照射されるものであり、プローブは動かさない方が効果的。

25,6年前の超音波は精度が悪く、超音波痛や火傷の恐れが高いため、動かす必要がありましたが、最近のものであればその必要はないそうです。

ラジオ波は広がって照射され、硬い組織に熱が届くという特徴があります。ストレッチをした状態や関節角度を調整したりすることでより効果が得られやすいということでした。

 

衝撃波(圧力波)

尿管結石を砕く体外衝撃波を整形外科領域用に転用されたものです。

結石を砕くようなパワーを持っており、石灰沈着性腱炎や、足底筋膜炎などに用いられます。

組織を破壊して、細胞の代謝増加や血管新生を促す作用があり、特に慢性疾患や腱に対して効果が期待できるようです。

 

改めて、「その疾患はどのようなものなのか(状態や位置)」

そして「どのエネルギーをどういう目的で用いるのか」ということをしっかり把握することが重要であるということでした。

 

MEDICA

毎年11月、ドイツのデュッセルドルフで行われている世界最大級の医療機器の展示会。

物理療法に興味がある方はぜひ参加してみてくださいと話されておりました。

下記のリンクからチェックしてみてください。(日本語のサイトです)

https://medica.messe-dus.co.jp/home

 

まとめ

基礎の中でも、さらに凝縮した内容であると話されておりました。

それでもとても有益な情報ばかりで濃密な60分でした。

高橋先生、奥村先生貴重な機会をありがとうございました。

今後、セミナーの続編が企画される可能性が大いにありますので、

その際は、ぜひまた参加してみてください!

また、髙橋先生の酒井医療株式会社様でも随時セミナーが行われております。

興味のある方はホームページをご覧ください(https://www.sakaimed.co.jp/)。

 

参加者のコメント

#スポリンク物療 で、投稿いただいた感想を共有いたします。

皆様投稿ありがとうございます

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