こんにちは。ブログライター班の福永です。
オリンピックに、高校野球にスポーツが盛り上がった夏でしたね。
皆さまいかがお過ごしでしょうか?
投稿時も、まだまだパラリンピックの熱戦が繰り広げられていて目が離せません!
今回は、第61回オンラインセミナーの内容をお届けします。
【第61回 Spolink & encounterセミナーレポート】科学的根拠に基づいたストレッチとの向き合い方~パフォーマンスへの影響について~
【日時】2021年8月18日水曜日 21:00~22:00
【テーマ】科学的根拠に基づいたストレッチとの向き合い方~パフォーマンスへの影響について~
【講師】
中島 健太郎先生
・株式会社LEARNED(ラーネッド)代表
・日本ストレッチング協会理事
・スポーツ健康科学修士
・CSCS*D
・NASM-PES
【ファシリテーター】
奥村 正樹 先生
・Spolink JAPAN代表
・日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー / 鍼灸師
ストレッチの現在
「ストレッチ」と聞くと、やはり10~30秒かけてゆっくりと筋肉を伸長させて行う、いわゆるスタティックストレッチを思い浮かべる方が多いのではないのでしょうか?
そこに近年、ウォームアップの際に効率的であるということが浸透しつつあるダイナミックストレッチ。
中島先生はこの違いや使い分けをどのように語られるのか、今回私はそんな期待を膨らませてこのセミナーを受けました。
参加者の感想
まずは参加された方々の感想から!
https://twitter.com/hagihara9784/status/1427988927563014145
https://twitter.com/02handb/status/1427988425303498761
個人差がありすぎて難しいテーマだったと思いますが、文献のデザイン方法等に触れながら学生にも分かりやすい内容でした。あくまで、ストレッチは目的を達成するための1つの道具であることを再認識できました。
・コンディションの確認
・心的な準備
・特定の関節のROM改善#スポリンクストレッチ— 長島諒@PT学生トレーナー (@Shima125Ryo) August 18, 2021
圧倒的なエビデンス量
今回の中島先生のセミナーで驚いたのは、圧倒的なエビデンス量です。
例えばスタティックストレッチは何秒行うのが適切か?という問いに対して、一つの論文では断片的な答えしか分からない内容でも、様々な条件下でのデータを比較すると精度の高い基準がみえることがあるのは勉強になりました。
また、スタティックストレッチを行うとパフォーマンスが低下するという研究結果だけを聞くと、どうしてもトレーニング前にはスタティックストレッチを行ってはならないという考えに陥りがちです。
しかし、その論文を読み解くと、検証に設定したストレッチ時間が現場では考えられない程長かったり、大腿四頭筋のみの検証であったりするそうです。
このように限定的なシチュエーションでの報告によるものを結論だけ落とし込んで‘’運動前のスタティックストレッチ=悪‘’と結論付けるのは危険であるとおっしゃっていました。
どのような条件下でその結論を出したかをしっかり読み解いてないと、このように間違った解釈でデータだけを振りかざしてしまい、現場への不利益につながることがあるんですね。
検証実験の定義を紐解きながらそれぞれにおける解釈の線引きを行うのは、本当に一つ一つを現実的にイメージし突き詰めていかなければならないと感じました。
中島先生の見解
そして最初に掲げたウォームアップのスタティックストレッチ(以下SS)、ダイナミックストレッチ(以下DS)の是非にまつわる疑問点ですが、中島先生が数々の論文を比較して考察された見解をまとめてみました。
・SS45秒以下ではパフォーマンス低下はしない
・SS後(直後)は筋力低下、スプリント、垂直跳びも低下→ただ実際の試合をイメージした時、SS直後にパフォーマンスを行う状況があるかは疑問
・DS具体的な理想値は分かっていない、ボリュームは適度が良い(強度が高すぎると逆にパフォーマンス中の筋力低下の原因に)→DSは運動強度や個々の主観的な疲労度を考慮しメインの練習にうまく入れるようにするべき
私も多分に漏れず「SS=ウォームアップには望ましくない」と鵜呑みにしていた人の一人なので、何事も新しい情報に対してどのように理解を深めるかという点は、これからしっかりと意識していきたいと思いました。
そして指導を行う上で最も大切なことは、EBP(Evidence-based practice:科学的根拠に基づく実践)に際し以下の3つの歯車を回すことだとおっしゃっていました。
1 クライアントの好み・ニーズ
2 科学的知見
3トレーナーの経験・技術
中島先生はこの3つの歯車がうまく嚙み合った時に初めて機能するということを常に念頭において指導にあたっているそうです。
また、中島先生はこれほどまでにストレッチにおいて科学的な見解と臨床経験をお持ちでありながら、ROM(関節可動域)の改善ができるアプローチはストレッチ以外にもあるので、ストレッチ以外のあらゆる手段の中から本当に優先すべきことを選ぶべきということも言われていました。
情報を得たうえで「自分の環境ではどうするべきか」結局は現場での相手や状況に合った判断が、必要になってくるということがよく分かりました。
まとめ
どうしても、明確なエビデンスが出ていることにはデータに引っ張られてその方法に囚われがちになってしまいます。
しかし、今回のお話を聞いて、その論文の定義を深く理解し、実際の状況に合わせて目の前の「人」に向き合って指導していきたいなと感じました。
また、その中で自身の適応と限界を見定める目や、自分の専門分野ではないアプローチの方が適切だと判断した場合は、まさしく医療連携の輪をつないで、選手や患者さん、クライアントのために活用していきたいと思いました。
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最後に、中島先生はヘルスケア・フィットネス業界のデザイン制作を手掛ける会社も経営されており、今回のスライドや写真の美しさもセミナーの魅力を引き立ててくれていました。
中島先生のスライドに感動された方、スポーツジムのHP作成に興味のあるは、ぜひこちらの会社のホームページもご覧ください。