こんにちは。ブログライター班の福永です。
いよいよ東京2020オリンピックが始まりましたね!
社会情勢の不安や様々な物議がありました。
しかし、いざ始まってみると選手の人生をかけたパフォーマンスには、連日多くの感動をもらっています。
第52回オンラインセミナーレポート
第52回オンラインセミナーの内容をお届けします。
【日時】2021年6月7日月曜日 21:00~22:30
【テーマ】スポーツ選手におけるリカバリー戦略〜パフォーマンス向上とスポーツ傷害予防の両立に向けて〜
【講師】笠原 政志 先生
・国際武道大学体育学科 教授
・国際武道大学大学院武道・スポーツ研究科 教授
・博士(体育学)
・日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー
【ファシリテーター】奥村 正樹 先生
・SpolinkJAPAN代表
・日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー
・鍼灸師
今回、なんと参加者327名!!そしてその期待を裏切らない充実の内容でした。
https://twitter.com/kunibon_AT/status/1401899375966658560
リカバリーの実践的な知識技術について興味深いことはもちろんのこと
それらを活用して、勝つための『戦略』という言葉が、これほどまでにぴったりなリカバリーの活用を学べたのが印象的でした。
孫子の名言
笠原先生が、まずはじめにお話されたのが、私も目標にしている孫子の名言です。
~戦術なき戦略は勝利に至る最も遠い道のりであり、戦略なき戦術は敗北の前の戯言である~(孫子の兵法より)
戦においては、いい人材を揃えても敵の地形や戦術を把握した上で戦わなければ敗れます。
スポーツにおけるコンディショニングにおいても、計画や、使うタイミング意図がないコンディショニング方法では勝つことができないということでした。
そこで、戦略的にコンディショニング計画を立てるにあたって、まずは現状を把握しコントロールできる状態を作るということをおっしゃっていました。
具体的には、運動により生じる疲労の大きさを
・主観的な指数(0~10)
・運動ごとに定めた強度の指数(軽いジョギングは2、筋トレは7など)
・運動時間(分)
これらを数値化し、組み合わせて運動量を算出します。
それを日々管理することで、目的に合った運動量を維持できるということになります。
例えば、コロナ禍で中断した後の活動再開の強度は50%という目安だったものを
普段の数値化された運動量を100%として強度または時間を調整すると安全に正確に活動を再開することも可能です。
そして、これは選手が自分の運動量を自覚する教育ツールにも役立つとのことです。
リカバリー戦略とパフォーマンスアップ
また、リカバリー戦略とパフォーマンスアップは切っても切り離せないものです。
当たり前のことですが、激しい運動で疲労が蓄積した時、何もしなくともいつかは自然に回復します。
ですが、これが毎週試合のあるシーズン中では、リカバリーに追われて必要なトレーニングができないということになりかねません。
そこで、その回復に至る時間を戦略的に短くし、次の試合の準備を早期に開始できるようにするのがリカバリー戦略です。
そのために、疲労の場所や性質を理解し、それに対応するリカバリーを戦略的に実施していきます。
主な疲労の要素とそれに対応するリカバリー方法
1. エネルギーの枯渇→炭水化物の補給
2. 筋(抹消)への疲労物質の蓄積→血液循環の促進
3. 筋の微細損傷や筋肉痛→二次的損傷の抑制(冷却)
4. 生体内の恒常性のアンバランス→体温調整、水分補給、自律神経
5. 脳(中枢)の疲労→糖質摂取、睡眠
そして、この項目一つ一つに対して効果的なリカバリー方法を、ご自身や論文の検証結果を元に論理的に紹介していただきました。
全て紹介したい所ですが、一番反響の多かった筋損傷のリカバリーのためには冷やす?温める?問題についてシェアします!
ピッチャーの試合後のアイシング論争に終止符が打たれました。#スポリンクリカバリー
— 川浪洋平@模範的アスレティックトレーナー (@river_waves) June 7, 2021
この投球後のアイシング後のお話はとても興味深かった。
またそれ以外のお話もリカバリーの事がわかりやすくまとめてもらっていて本当に勉強になることが多かった。アイスバスの有効性や重要性を改めて感じたので、うまく伝えていこうと思う。#スポリンクリカバリー https://t.co/85R8NCqGdl
— 奥村正樹(スポーツトレーナー/physio) (@Masa19901) June 7, 2021
結論から言うと、野球選手の投球後の肩や肘へのアイシングの研究では、毎日投げる選手には必ずしも必要ではなく、温熱療法やストレッチなどで筋の血行促進を促す方が効果的です。
普段よりも球数が多かったり、全力で投げたり久しぶりに投げた結果、筋の微細損傷や炎症が起こっている場合にはアイシングの方が効果的ということでした。
これを参考に個体差や条件を考慮してその時に応じた判断ができると良いですね!
まとめ
自分の帯同していた学生のチームを振り返ると、選手(特に回復の早い育成年代)はパフォーマンスアップのトレーニングや技術的な内容に対する積極性に比べると、どうしてもリカバリーにおいては自主性が劣ることが多く、シーズン終盤ともなると監督とのコンディションの調整の話し合いにはかなりの時間を費やしていました。
このような考え方や、選手の内発的なモチベーションのあげ方を実践できていれば…と個人的にも反省と学びの多いセミナーでした。
Australian Institute of Spot(オーストラリアにある世界でもトップクラスのリカバリー専門の研究所)での研究員としての実績のある笠原先生ならではの最先端のテーマで、まさに臨床と研究、教育的視点まで盛りだくさんなセミナーをありがとうございました。
#スポリンクリカバリー
セミナー後にいただいたツイートをご紹介します。
・睡眠とリカバリー関係の深いセミナーが続きました
https://twitter.com/ptah1120/status/1402457168675098629?s=21
・視野の拡張
リカバリーはいろんな方面から考えることができますが、
栄養面のリカバリー、外からのリカバリー、組み合わせることは非常に大切ですよね☺︎#スポリンクリカバリー— 管理栄養士 AKANE AMEMIYA (@akane_ac2018) June 7, 2021
・早速の実践
準備は万全!
先日の笠原先生のアイスアンダーラップも!
風が強いが活躍することは出来るか?#スポリンクリカバリー pic.twitter.com/POYKyGZawi— 芳賀 貴之@柔道整復師✖️睡眠健康指導士 (@TakayukiHaga) June 12, 2021
この他にも、たくさんの感想ツイートいただきました。
#スポリンクリカバリーで検索してみてください。
お読みいただきありがとうございました。