お久しぶりです。
順天堂大学医学部4年の松原です。
しばらく記事を書くのをさぼっていました。
というのも、8月は東医体とCBTがあり、9月はOSCEがあって、10月からはポリクリが始まって生活リズムが一変・・・
と、こんな言い訳をしたところで医大生か医師でもない限り何を言っているのかチンプンカンプンだと思います。
ということで今日はそんなベールに包まれた医大生の生活についてお話していきたいと思います。
医学部のカリキュラム
医学部はその他の多くの学部と異なり、6年間の教育課程があります。
1年生は一般教養、2.3.4年生は基礎医学・臨床医学の勉強、5.6年生は病棟実習というのが基本的なカリキュラムですが、大学によって、カリキュラムを前倒しにして、病棟実習の期間を長めに設定したり、国家試験対策の時間を多くとったりと様々です。
僕の大学でも、1年生の1月から前倒しで基礎医学の授業が始まり、他の大学より早く、4年生の後期から病棟実習が始まります。
病棟実習
という言葉が先ほどから何度も出てきていますが、これが僕が最初の言い訳部分で「ポリクリ」と言っていたものの正体になります。
病棟実習と呼ばれたり、臨床実習と呼ばれたり、はたまた英語でBed Side Learningを省略してBSLと呼ばれたり、大学によって呼び方は様々ですが、僕の大学では、ドイツ語で総合病院を意味するPoliklinikを省略してポリクリと呼んでいます。
他にもClinical Clerkshipを省略してクリクラと呼ぶ大学もあったりします。
実際にはそれぞれの呼び方によって微妙に意味が違うそうなのですが、やることはほとんど同じで、病棟に出て、担当の患者さんと話をしたり、手術の見学をしたり、問診や身体診察、採血など侵襲の少ない手技を患者さんにお願いして練習させてもらったりします。
というのも、たとえ膨大な医学の情報を完璧にインプットしていたとしても医師になることはできません。
医師になるために必要な、患者さんや一緒に働く医療関係者の方々とのコミュニケーションの取り方や、診察や手術のスキルなど、教科書では学べないことはたくさんあります。
それらを実践の中で身に着けるために約2年間の病棟実習が用意されています。
病棟実習に参加する前に・・・
そんな医師になるためのより実践的な知識や技術を習得するための病棟実習ですが、誰でも病棟で患者さんと接することができるわけではありません。
当たり前ですが、医大生が病棟実習で可能な行為の中には患者さんの身体に針を刺すなど侵襲的なものも含まれています。
そこで、医大生が病棟実習に参加するのに最低限必要な知識や技術を身に着けているかどうかを試すテストが設けられており、これを突破しないと病棟に出ることはできません。
それが、CBT・OSCEです。
CBTとは?
CBTはComputer Based Testを省略したもので、2.3.4年生で学習する基礎医学・臨床医学のすべてが出題範囲となります。
これにより、受験した医大生が病棟実習に参加する上で必要な知識を備えているかどうかを測ります。
問題数は320問で、学生は丸1日かけてその問題を解きます。
過去に出題された何万という問題の中から問題がランダムに選ばれて出題されることで、前の席の人や隣の席の人とは違う問題を解く仕組みとなっており、カンニングはできないようになっています。(どんな仕組みになっているのかはよくわかりませんが…)
また、問題ごとにその難易度から配点が決まっていて、そこまでの正答率が高い人ほどその次に難しい問題が出題されて、正解できれば(2次関数的に?)どんどん得点も高くなるなど、受験者の実力を平等に測れるように、様々な工夫がされています。
病棟実習が始まるタイミングはそれぞれの大学で異なるので、CBTを受験する時期、合格点も大学ごとに異なります。
このCBTに合格しないと病棟実習に参加できないので、再試も含めて不合格の場合には即留年となる、恐ろしいテストです。
また、CBTは人生で2回までしか受けることができません。
つまり、不合格で留年して翌年も再試含め不合格の場合は退学となり、他の医学部に入学しなおしたとしても2度と受験することはできず、医師になることはできないのです。
ある意味、何度でも受験可能な医師国家試験よりも厳しいテストかもしれません。
多くの医大生がこのテストのために膨大な時間とお金を費やして勉強をします。(医大生向けの参考書はとても高額なのです…)
僕も1か月以上前から対策をはじめ、参考書や動画講義などに合わせて10万円近く課金しました。
OSCEとは?
晴れてCBTに合格すると、今度はOSCEが待ち構えています。
Objective Structured Clinical Examinationを省略したもので、病棟実習に参加するために必要な手技が備わっているかをチェックするためのテストです。
模擬患者への医療面接や身体診察、手術室でのガウンの着方や縫合の仕方など出題は多岐にわたり、これもまた大学ごとに何が出題されるかが異なります。
OSCEも再試を受けても不合格の場合には病棟実習に参加することができないので、即留年となりますが、CBTには受かったけどOSCEに落ちて留年という例はほとんどありません。
そんなこんなで
CBT・OSCEに合格して、医大生として病棟実習に参加するに相応しい知識と技術を持っていることが認められると、そこから約2年間の病棟実習が始まります。
そしてあっという間に卒業試験・国家試験を迎えることになるのですが、それはまだ僕も経験していないので、またいつか記事にしたいと思います。
ちなみに、最初の言い訳にでてきた東医体というのは東日本医科学生総合体育大会を省略したもので、1年に1度開催され、東日本の医学部運動部の学生がそれぞれの競技で優勝を目指して競い合います。
1年で1番大きな大会で医学部の運動部に所属する学生はこの大会を目標に1年間練習に励みます。(正直テストなんかよりこっちの追い込みのほうが大変です。)
そういった医学部の勉強以外のところもまたいつか記事にできればと思います。
順天堂大学医学部4年 松原颯