【第50回 Spolink & encounterセミナーレポート】『暑さから選手を守る!スポーツ活動時の熱中症対策』

【第50回 Spolink & encounterセミナーレポート】『暑さから選手を守る!スポーツ活動時の熱中症対策』 

こんにちは!

Spolink JAPANブログ班の理学療法士1年目の近凜太郎(理学療法士)です。

4月から社会人となり、新しい環境の中、知らないことや慣れないことが多く

社会人としての難しさを痛感しております。

徐々に、できる楽しみを噛み締めながら頑張っていこうと思います。

セミナーレポート

記念すべき第50回となりますSpolinkJAPANオンラインセミナー

『暑さから選手を守る!スポーツ活動時の熱中症対策』 

講師は、大塚製薬株式会社の鎌倉竜太さん

ファシリテーターは奥村正樹さんが勤めてくれました。

僕自身も一度体験したことがあり、熱中症に苦い思い出があります。

これから暑くなる環境でスポーツを行う方は、絶対に知っておかなければならない内容でした。

本ブログも、予防や怖さにきっかけになっていただけたら幸いです。

大塚製薬【企業としての取り組み】 

 ○講義構成

1.水分補給の目的

選手の安全を守る

パフォーマンス維持する

 

2.熱中症とは?

熱中症とは?

「高温多湿の環境下において体内の水分・塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れ、体内の調整機能が波状して発症する障害の総称」となります。

甘くみがちの熱中症は、死に至ることもあります。

応急処置、救命処置、予防法を知っていれば、事前に防ぐ可能性が高まります。

また、気温について、興味深いことを教えてくだいさいました。

それは、天気予報の温度より、体感温度は5℃ほど高いということ。

理由は、温度を観測する気象台の環境が直射日光の当たらない、周りが芝生であるなど

暑くなりにくい環境であるからです。

暑い環境でスポーツや、トレーニングをプログラムする場合には大いに考慮する必要がありますね。

 

・熱中症のメカニズム

炎天下の環境での、労働やスポーツ活動では、体温上昇が避けられません。

その中で、水分補給できずに、発汗などの体温調節がコントロールできなくなり、

体温上昇し続けることで、熱中症が生じてしまいます。

 

・熱中症を防ぐポイント

体温調節をコントロールする

脱水症状に陥らないようする

この2つのポイントについては

3.熱中症予防対策にて詳しく説明します。

・熱中症の段階づけ(隠れ熱中症の存在)

ここでは、一般的な熱中症の症状に加えて、隠れ熱中症についても教えてくださいました。

スポーツ現場で段階と症状を、知っておくことで初期対応が変わります。

ステージ1:めまい・失神、筋肉痛・筋痙攣(足がつる)

隠れ熱中症としてもあげられたステージ1の症状

私は、特に筋肉痛や筋痙攣は、熱中症の症状としては見落としやすいのではないかと思いました。

また、ここで注意したいのはステージ1だから大丈夫というわけではないということです!

今回ステージ1を「イエローカード」と表現し、すぐにでも応急処置が必要な状態であると仰りました。

ステージ2:頭痛・不快感・吐き気・嘔吐、倦怠感・虚脱感

ステージ3:意識障害・痙攣・運動障害、高体温

ここまでの、症状まで進むと「レッドカード」

病院での受診や緊急搬送が、必要なレベルであるからです。

このことから、私はステージ2にいくのを防ぐためにも

多くの人が、ステージ1を啓蒙する必要性を感じました。

熱中症の応急処置 

・応急処置

熱中症のが疑いあった場合の応急処置 

救急車が来るまで意識を確認できる簡易な方法

それは、ペットボトルのキャップを閉めたまま渡すという方法です。

意識がある場合はキャップを取って水分補給できますが、

意識が低下している場合は、水分補給ができない状態が多く

意識が、確認できます。

親切心でキャップを開けた状態で渡したくなりますが、

これを知っておけば、緊急時でも簡易的に意識確認することが可能です。 

また、応急処置を行なった際の注意として

たとえ熱中症の疑いがある症状が回復したとしても

その日は回復に努めること。

もう一度言います

その日は、回復に努めてください

一時的に回復できたとしても、再度熱中症になる可能性が高いです。

これは、知らずに復帰させるリスクは大きいです。

もう一度言います

熱中症を再発させないためにも、熱中症の疑いがある日は、

命を守るためにも回復に努めてください。

応急処置の際のポイント

・応急処置のポイント

1 呼ぶ   Ex)救急車を呼ぶ・周りの誰かを呼ぶ

2 冷やす  Ex)体を冷やす

3 補給する Ex)経口補水液、スポーツドリンクで水分、塩分を摂取する。

 

・スポーツドリンクと経口補水液の具体的な違い

スポーツドリンク 発汗による熱中症対策に

経口補水液    脱水症状の改善に

 

日常生活やスポーツ活動で熱中症の予防をするためには

スポーツドリンクを用いる。

脱水症状が見られた場合は、

経口補水液を用いることが望ましいとのことです。

スポーツ活動と水分補給

 ・スポーツ活動と水分補給の関係性

水分補給とパフォーマンスの関係性についてです。

水分補給が不十分な場合は、パフォーマンスは低下を引き起こし

水分補給が十分な場合は、パフォーマンスが維持されます。

水分補給を侮ると、せっかくの練習が無駄になる可能性があります。

確認が必須です。

・競技と熱中症の関係性

続いて、競技別の熱中症死亡災害のデータから、

野球が1番多く

ついで、ラグビー、柔道、剣道、サッカーの順

セミナー中は、剣道がピックアップされました。

剣道は、他の競技と違い厚い防具を着用しての活動となります。

そのため、より熱中症になるリスクがあるからです。

防具をつけている競技でいうと

他にも、野球のキャッチャー、アメリカンフットボールが挙げられ

これらの防具をつけて活動する競技は、より注意する必要があります。

また、競技別の発汗量では、サッカー、野球が2.5時間に対して1800gの発汗量

剣道は1時間で発汗量が2700g

防具の有無で、熱中症のリスクは大きく変わります。

また、剣道をされている学生から、コロナ禍でマスクを着用しての活動をしていると報告があり

さらに熱中症への注意が必要な現状と知りました。

 

・学年別による熱中症リスク

学年別の注意として、下級生が注意する必要があるとのことでした。

進級したことによる活動レベルの増加屋、上下関係によるプレッシャーもあり

十分に水分補給ができないことが挙げられました。

実際に、私も野球部に所属していた頃に先輩の目が気になり水分を取れなかった記憶があります。

多くの障壁がありそうですが、指導者、サポートする側ともに理解すべきポイントとなりそうです。

 

3.熱中症の予防対策

 

・環境を整える

熱中症の対策としてきちんと環境を整える。

具体的な環境設定として

・水分補給のできる場所の確保

・日陰などの休憩室の確保

・休憩の確保

・指導者からきちんとアナウンスを行い水分補給を促す

WBGT計を用いて、湿度、気温、輻射熱を指数を把握

スポーツ活動の前に、チェックが必要です。

 私は、WBGT計に関して、特に重要であると感じました。

それも、WBGT計で湿度を可視化し、危険度を把握することができます。

練習やトレーニングメニュー指標となり、熱中症の予防に繋げるからです。

 

健康管理

健康管理の具体的な対策

・健康観察

・日常生活(深酒、睡眠不足、朝食)

・暑熱順化

・深部体温の冷却

・水分・塩分の補給

暑熱順化解説

まず、暑熱順化とは暑さに慣れさせることであります。

では、暑さに慣れさせることで、具体的な変化

まず、暑熱順化を行うことでの変化として、深部体温が低い状態で発汗が可能になることです。

これはいわゆる汗をかくのが早くなるということです。

早く汗をかくことで、体温調節ができる。

また、早くかいた汗は普段の汗よりも塩分濃度が低く、過剰な塩分の消失を防ぐことができます

他にも暑熱順化を高めることでの体の変化として、

体温・心拍数の上昇、血液量・発汗量の増加、高音環境での深部体温、表面温度が上がりにくくなる、また体の広範囲で汗をかくことなどがあり、体温調整が可能となるなどが挙げられました。

暑熱順化を高めるためには7日かかり、数日暑さから遠ざかると効果が薄れるそうです。

例として、普段が冷房の効いた場所で仕事をしていて、休みの日に急に暑い場所で運動をすることで、暑熱順化が低下してるため、熱中症にかかってしまうというケースがあるそうです。

 暑熱順化を高めるトレーニング

・一般の方

「やや暑い、きつい環境」での運動を一日30分を週に14行う

体力に自信がある方

屋外でジョギング、屋内ジムでランニングやエアロバイクを「ややきつい環境」で行う

高齢者や体力の自信のない方

早歩きしたり、ゆっくり歩くインターバル歩行を習慣的に取り入れる

また、共通して、言えることは、本格的な暑さ到来する前に

5.6月にトレーニングを行うことが重要になるとのことでした。

 

4.深部体温の冷却

熱中症の考え方としての、深部体温の冷却。

まず、深部体温は運動による体温の上昇が皮膚温に比べて上昇しやすく

日本スポーツ協会の熱中症予防のガイドブックにも、深部体温の冷却を含めた身体冷却の項目があります。

深部体温の冷却方法

手掌前腕冷却法

手掌から冷やすことで、冷えた血液が全身を巡ります

実際にマラソン競技では冷やしている場面があるそうです。

アイススラリー

アイススラリーは、氷を飲むことで深部体温を下げます。

水であると一瞬で胃まで到達してしまうのですが、

アイススラリーは、口に入れた後、ゆっくり入っていき体温を下げます。

https://pocarisweat.jp/products/iceslurry/

 

深部体温を下げるタイミング

運動20分ぐらい前に下げておくことで、体温の上昇を抑えることができます。

このことをプレクーリングと言います。

内側から体を冷やすメリットとして、ウォーミングアップで上げた筋温を維持したまま、体温を下げることが可能に。

また、JISSでは詳しい身体冷却とアイススラリーの使用の仕方がデータをダウンロードできるので、

そちらもチェックしてみてください。

https://www.jpnsport.go.jp/jiss/Portals/0/jigyou/pdf/shonetsu2.pdf

 

5.水分と電解質

水分と電解質について

そもそも、汗は何からできているのかというと、汗は水に加えて電解質を含んでいるため、水だけの補給だと不十分ということになります。

 なぜなら、水だけでの水分補給を行うと自発的脱水が起こってしまうためです。

 自発的脱水が起こる機序としては、水やお茶を取ることで体内の水分量は満たされます。

しかし、水分の電解質の濃度は低いままであり、体はこの電解質の濃度を元の状態に戻そうと体は働きます

元の濃度に戻すためには、喉の渇きを止めたり、尿として体液を出したりしなければなりません。

そのため、結果として、水分量が減り脱水症状は進んでしまうということになります。

実際に水と電解質は、どのくらいの配分にすればいいのでしょうか?

日本スポーツ協会によると100mlあたり、食塩相当量は0.10.2gにすることで、血漿量の回復度は高くなり、ブドウ糖+果糖の量を48することで、水分の吸収位率を上げることができるそうです。

水分補給のタイミングとして、活動に入る前、汗をかいた時に飲むが好ましいとされています。

温度としてはJISSでは、515°で推奨されており、大塚製薬ではプラスαの工夫として、活動時は口腔内の温度が上昇しているため、うがいなどを行い一度口腔内温度を下げてから飲むのを推奨しています。

 

まとめ

今回の鎌倉さんの『暑さから選手を守る!スポーツ活動時の熱中症対策』

スポーツ活動を行う上で、改め熱中症の危険性や予防について知っておく必要があると感じました。

また、今回得た知識を実践していくことが、今後の熱中症の予防につながってくると感じました。

 

また、Spolinkでは熱中症対策のマニュアルを掲載してあるのでそちらもぜひご覧ください。(https://spolink-japan.com/heatstroke-manual

 

 

 

 

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