【第64回 Spolink & encounterセミナー】第5回国際脳振盪会 議合意声明(ベルリン声明)の解説~脳震盪からアスリートを守るために~
こんにちは。ブログ班の錦戸です。
今年の1月と3月に大相撲で発生した脳震盪の問題について、ご存知でしょうか。
(Web記事:大相撲「脳震 とう」問題を医師はどう見たか 「本人の意思に関わらずストップを」)相撲取組で脳振とうの響龍さん、 入院1カ月後に死亡)
当時の現場での対応について、多くの声があげられていました。
この脳震盪は相撲に限らず、他の競技においても、特に気をつけなくてはならないことの一つだと思われます。
選手は何事もなかったかのようにプレーを再開するケースも見られますが、後遺症や生命の危機に影響を与えることがある 重大な外傷です。
今回、日本ラグビー協会のメディカル委員会・安全対策委員会の委員もされている佐藤先生に脳震盪のお話をしていただきました。
セミナーレポート
【講師】 佐藤晴彦 先生
・聖隷三方原病院脳神経外科
・AICIR(advanced immediate care in rugby)
国際スポーツ脳震盪会議は2001年から4年に一度のペースで行われており、ベルリン声明は11の“R”に沿っ て、スポーツ脳震盪の管理を説明したものとなっています。
Recognise(SRC であることを認識する;疑う)
Remove(プレーから離脱させる)
Re–evaluate(再評価する)
Rest(休息させる)
Rehabilitation(リハビリテーション)
Refer(受診させる)
Recover(回復を待つ)
Return to sport(スポーツへの復帰)
Reconsider(再検討する)
Residual effects and sequelae(長期的影響と後遺症)
Risk reduction(リスク回避)
どなたでも見ることができ、脳震盪の評価ツールも一緒に掲載されているので、ぜひ下のリンクからアクセスしてみてください。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/neurotraumatology/42/1/42_1/_article/-char/ja/
セミナーの冒頭で、いくつか問題が出題され、最後に答え合わせをしていただいたため、セミナーの内容が非常にに頭に入ってきやすかったです。
今回聴講して、私が最も学びになったことは未成年に関することでした。
成人に比べて「発生しやすい」「回復に時間がかかる」「記憶や精神面の問題が出やすい」などは初めて聞きました。
トレーナーや医師に限らず、地域のクラブチームコーチや部活動の先生方なども知っておく必要があると感じました。
モンゴルでの体験
私が活動しているモンゴルでは、脳震盪が起きた際に頭頸部や胸部をマッサージしたり、踵を叩くなどの伝統的な治療が古くから行われています。
信じ難いことではありますが、それを受けた方は症状が緩和されるようで、現在においても国民から強く支持されております。
この国のやり方を否定するつもりはありません。
しかし、選手を守るためにも国際脳震盪会議の内容は一度話をしておこうと思いました。
講師の佐藤先生およびファシリテーターの奥村先生ありがとうございました。
感想ツイート
命に関わる脳震盪
トレーナーとしての対応はもちろん、監督・コーチ・保護者など、周りの方々の理解を得るためのコミュニケーションが大事だと再認識しました#スポリンク脳振盪— 井上皓太 (@Kota__Inoue) September 15, 2021
脳振盪の対応、復帰の仕方を学ぶのはトレーナーだけじゃない。
指導者、選手、場合によっては保護者の方へもしっかりと説明しなきゃいけない。
それもトレーナーの役割だと思う。#スポリンク脳振盪— 海野祐生 (@yypopo1) September 15, 2021