第42回Spolinkセミナー エコーが繋いでくれた縁 ~若手スポーツ医ができる地域貢献・連携~
こんにちは。ブログ班の錦戸です。こちらは3月31日(水)に行われたセミナーのレポートとなります。
4月に入り、新年度がスタート。新社会人や職場が変わった方もいらっしゃるかと思います。
春は新たな出会いも多く、人々の縁というのはとても大事であると私は感じております。
今回のテーマは「エコーが繋いでくれた縁 ~若手スポーツ医ができる地域貢献・連携~」エコーの有用性はもちろんのこと、他職種が連携していくことの重要性を再認識することができた内容でした。
講師紹介
講師
・慶應義塾大学スポーツ医学総合センター 助教
・健康スポーツ医
現在は大学院での研究や慶応大学野球部のサポート活動などもされているそうです。
セミナー内容
はじめに
医師は主に静的な評価であるが、スポーツ選手は動作時痛が問題になることが多い。また、前者は理論や理屈をメインとする一方で、後者は感覚や経験がメインである。
そこを繋ぐのがセラピスト(理学療法士や柔道整復師など)やトレーナーであると先生は考えられているようです。
エコーについて
エコーは超音波にて組織の状態を画像に映し出して評価する機器です。非侵襲的な検査方法であり、臓器や胎児など様々な医療の現場で用いられています。
特別な資格は不要であり、医師だけでなくセラピストも扱うことが可能です。改良が重ねられ、運動器の評価に用いられるエコーは軽量化されて、スポーツ現場に持っていけるものもあるようです。
また、患部の病態把握だけでなく、注射をする際には画像を描出しながら的確な薬液を注入することもエコーの強みの一つであるようです。
同様に、描出中に関節運動や筋を収縮させることで組織の滑走性や部位の特定など、患者さんに理解してもらう場合にも有用であるようです。
このようにリアルタイムで見ることができるのはレントゲンやMRIにはない、大きな特徴です。
さらには、それらに比べて安価で気軽に撮ることができるため、損傷組織がどの程度回復している状態にあるのか、経時的な評価をすることが可能。
医師やセラピストにとっては、固定期間や治療方針の参考になり、選手や患者さんは自分の怪我がどのレベルにあるのか把握することができるようです。
共通言語
医師は構造的な問題、セラピストは機能的な問題を主に見ており、前者の静的評価および後者の動的評価を繋げることが重要となります。
そのような問題を解決するツールとして有用なのがエコー。
同じ画像にて共通の言語で情報の共有することで、患者さんへのよりよい対応に繋げることができるとのことです。
5つの縁
1 他大学医師との縁
2 PT達との縁
3 柔整師との縁
4 地域との縁
5 スポーツ現場との縁
一般的には、同じ職種または同じ職場の人たちだけで固まりがちになることがあるかと思います。
山田先生のご経験ではエコーを通して、普段関わりのない方々との縁が広がり、双方の知識や技術の向上をすることができているようです。
また、地域貢献の一環として野球肘検診を行ない、それが新たな出会いを作るきっかけとなり、スポーツ現場での活動へと繋がっていったようです。
特定の所にとどまるのではなく、このように視野・活動の場を広げることが大切であると感じました。
”主体的な社会参加と相互依存を伴う周囲との関わり”
今後の理想的な連携として、挙げられたキーワードの一つです。
自分自身の責任をしっかりと持ちつつ、他職種をリスペクトしたうえで、それぞれの長所を活かした連携を行なうことが理想であると語られていました。
冒頭でも出たように、理論や理屈をメインとする医師と経験や感覚をメインとする選手たち、そこを繋ぐセラピストやトレーナー、それぞれが異なる武器を持っており、互いを理解することが重要であるとのことでした。
また、医師が一方的に指示を出すだけではなく、逆にセラピストから医師の方に治療や見立てついて相談や提案するようになることも大事であると話されておりました。
参考書のご紹介
本セミナーの中で、山田先生がご紹介されていたものです。
画像が豊富であり、拘縮に対する考え方が記載されており、臨床に活かしやすいとのことです。
興味のある方は、ぜひチェックしてみてください。
運動療法のための運動器超音波機能解剖 拘縮治療との接点
https://www.bunkodo.co.jp/book/CJB1A3KLTK.html