【第67回Spolinkセミナー】プロ野球におけるスポーツ医科学サポートのマネジメント|中原啓吾】

【第67Spolinkセミナー】プロ野球におけるスポーツ医科学サポートのマネジメント|中原啓吾氏】

こんにちは!

Spolink JAPANブログ班の理学療法士1年目の近凜太郎(理学療法士)です。

 セミナーレポートをお送りします。

セミナーレポート

今回で、ついに第67回となりますSpolinkJAPANオンラインセミナー

 テーマは

【第67Spolinkセミナー】プロ野球におけるスポーツ医科学サポートのマネジメント】

講師は、プロ野球ヤクルトスワローズやソフトバンクホークスでトレーナーとして経験された中原啓吾さん。

ファシリテーターは奥村正樹さんが勤めてくれました。

野球といえば、東京オリンピックで金メダル獲得が、記憶に新しいですよね。

私自身は、小学生から中学生までプロを夢見て野球をしておりました。

現在理学療法士として働いていて、トレーナーやメディカルの人が、どのようにプロ野球に携わっているか興味があり、今回のセミナーはとても楽しみでした。

 同じ気持ちの方も多かったのでは?

プロ野球トレーナーのスケジュール

まず、中原さんは一年間のスケジュールを見してくださりました。

フィジカルテストの時期や、フロントの方と実際に関わる機会のある時期なども詳細に

また、トレーナーの仕事として年間スケジュール作成やEAP(緊急時の対応プラン)作成があるそうです。

続いて、現在中原さんがサポートしているチームスケジュール例を紹介いただきました。

スケジュールを作成する際、中原さんが意識される点は、年間スケジュールからコンディショニングのピークポイントの決定だそうです。

また、そのピークの為に、トレーニング目的を把握しておくが重要なのだそう。

具体的には、プロ野球は、開幕後7月、9月(シーズン終盤)にピークを持ってくるそうです。

また、5月と8月は怪我が多いため、メニューの調整が必要な時期だそうです。

コア・ランニング・ムーブメントトレーニング

ここで私自身が、とても勉強になったと感じた部分をご紹介します。

コア・ランニング・ムーブメントトレーニングを行う目的や要素の分け方、狙う部位です。

それが、以下のようなものでした。

ランニングメニュー

・無酸素
・間欠的持久力
・有酸素持久力
・リカバリー

コアトレーニング

・腹部上部、下部
・股関節臥位
・立位
・肩甲帯

ムーブメント

・運動方向(縦・横・回旋)
・肢位:両脚・片脚
・目的(安定性・可動性・パワー)
・障害予防:投球障害、肉離れ、腰痛

実際に、トレーニングを行う際は、これらを組み合わせながら行なっているそうです。

メディカルサポート

次に、投手に対してのメディカルサポートの流れを教えてくださいました。

流れとして、

登板翌日の肩、肘の可動域や既往歴のある部位のチェック

練習や登板前の徒手療法やセルフケア指導

試合登板の数や球数の管理

登板後のケアとしてアイシングやセルフケア

また、選手の障害発生時対応として、連絡は最短で10種類もの報告が必要となってくるそうです。

手術が必要となる可能性がある選手の場合では、シーズンの状況や次年度の契約更新の有無により、きちんと手術をしないことのリスクを説明した上で選手の意向を汲みとっていくそうです。

マネジメント能力

続いて、マネジメント能力について教えてくださいました。

プロ野球に携わるに当たって必要となるマネジメント能力の一つとしてコミュニケーション能力があげられました。

中原さんは、このコミュニケーション能力を『先を読む力』と考えてマネジメントしているそうです。

この『先を読む力』は、個人的に凄く教訓になる言葉になるなと感じました。

 

また、中原さんは具体的なコミュケーションの工夫をあげてくださりました。

選手に対しては、ベテラン選手と新人選手とで「選手の意向」と「自分達の考え」の配分を分けて今後の意向を擦り合わせているそうです。

 

プロ野球チームでのトレーナーデータ

ここでは、中原さんはプロ野球チームでのトレーナーについての参考となりデータを教えてくださいました。

ここで注目だったのは、トレーナーが保持している資格の割合として、鍼灸師:68% AT24% PT/柔整12%と鍼灸師が圧倒的に多い結果となっておりました。

その理由としてはプロ野球では試合数が多く、リカバリーが求めら場面が多いことが要因と考えられておられました。

 

質疑応答

質疑応答では、いろんな質問がありました。

その中でも僕が気になったものをあげます。

「選手が怪我をしたことを監督・コーチに伝えてほしくない時はそうしたらいいか?」

これは、プロ野球に限らずに遭遇することが多い印象があります。

中原さんの回答は、その選手自身がどれだけリスク管理できるかどうかを大事にしているそうです。

また、言う必要があるとなった場合でも、誰に、いつ言うかをチームのバランスを考えながら行っているそうです。

 

最後に

プロ野球トレーナーが行っている仕事や立ち位置、実際の現場で起こっていること、またその対応などスポーツ医科学のマネジメントを学ぶことができました。

その中でも、中原さんがマネジメントにおいて大事にされている『先を読む力』は、とても刺激になりました。

これから、実際にコミュニケーションを取っていく際は、先を考えながら取り組んでいきます。

参加者感想

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