【第43回 Spolink & encounterセミナーレポート】
こんにちは。ブログライター班の福永です。
第43回オンラインセミナーの内容をお届けします。※開催日3月24日
今回のセミナーは、遺伝子検査を、すぐにでも受けてみたくなるような内容でした。
遺伝子の分析方法次第で、バテるのを防ぐ水分補給の仕方から
パフォーマンスアップまで、様々なことに役立てるんです!
また、今回のブログは絶対に最後まで読んでくださいね!!
岡田先生よりセミナー内で答え切れなかった興味深い質問にも、お答えいただいています。
それではいきましょう!
講師紹介
【講師】岡田裕史(おかだゆうし)先生
⚫︎日本スポーツ内科学会
⚫︎日本医師会健康スポーツ医
⚫︎日本スポーツ協会公認スポーツドクター
【ファシリテーター】奥村 正樹 先生(@Masa19901)
⚫︎Spolink JAPAN代表
⚫︎JSPO-AT / 鍼灸師
岡田裕史先生は、専門は消化器内科
京都府にて消化器内科・スポーツ内科を開業されています。
数々の契約プロテニス選手がいらっしゃいます。
スポーツ内科とは??
まずは最近時々耳にするようになったスポーツ内科って何?ということから。
一般内科とスポーツ内科を比べてみましょう☝️
・一般内科は健康を損ねている人を良くする。
・スポーツ内科はアスリート特有の状態を把握し病気やけがの予防をする。
ex)スポーツ貧血、気管支喘息、無月経、オーバートレーニング症候群など
過酷な状況に常に身を置いているアスリートには、むしろ同年代の一般の人よりもリスクの高い病気があってもおかしくない。
血液検査では、体調不良やパフォーマンスが上がらないことが、実は病気だったということを見抜いたケースなども、よくあるそうです。
岡田先生のスポーツ内科医として活動
・アスリートのメディカルサポート(血液検査、オンライン相談など)
・部活動やチームサポート
・アンチドーピングに関する相談(スポーツファーマシストと連携)
・オンライン勉強会の開催
・遺伝子検査
などが、あげられます。
プロテニス選手のサポートについては、選手の生活が年の3分の1~半数以上が海外生活
そのため、遠征のオンライン相談がメインになってきます。
外国で身体の不調が出た時、海外の病院には大変行きづらいです。
言葉の壁に加えて処方される薬に、ドーピング禁止物質が含まれていないか自己判断するのは不可能に近いですよね(´;ω;`)
そのような時に、症状を問診してあらかじめ渡されたアンチドーピングにも安心な常備薬を服用できるというのは、選手にとって心強いサポートではないでしょうか?
また、今の海外遠征には欠かせない英文の新型コロナウイルスの陰性証明書を発行されたりもしているそうです。
遺伝子検査
そして本題、遺伝子検査について。
イデンシルアスリート(←遺伝子検査の商品名)では、こちらの9項目の分析が可能で、自分の特徴を知って競技パフォーマンス向上に活かすための情報が盛りだくさんです。
イデンシル
https://idensil.jp
遺伝子分析したのちに、一人1時間半程かけてカウンセリングとフィードバックをします。
ここからは、遺伝子検査の豊富な活用方法の一例として、具体的な分析例を2つ紹介します!
1. 筋線維のタイプ
その人の筋線維の割合がいわゆるパワー(速筋・瞬発力)系かスタミナ(遅筋・持久力)系か中間の要素が大きいかを調べることにより、ペース配分を科学的に考えることができるとのこと。例えばマラソン競技の場合、パワー系なら終盤にスパートを持ってきて、スタミナ系なら最初からある程度スピードをつけて継続できるペースにするとパフォーマンスアップに直結するそうです。
また、オリンピックレベルの選手の遺伝子検査では、驚きの事実が分かってきました。
100m走などのパワー系種目の選手の筋線維
・瞬発系 :50%
・中間 :50%
・持久系 :0%
マラソンなどスタミナ系種目の選手の筋線維
・瞬発系 :30%
・中間 :40%
・持久系 :30%
パワー系種目の選手には持久系優位の選手は一人もいないんですね!
逆にスタミナ系の種目は戦略次第では瞬発系の筋線維でも活躍できるということでしょうか。
※あくまでオリンピックレベルで一般アスリートではこの限りではないそうです。
2. 水分補給のコントロール
なんと、糖尿病のリスクが分かる遺伝子というものがあるそうです。そのリスクが高い選手は、血糖値の上下幅が大きく、インスリンショック(ごく簡単に言うと低血糖)を起こす可能性も高い。
なので、このリスクが高い方には、スポーツドリンクを飲んだ後の血糖値を一定時間ごとに測る検査を組み合わせてインスリンが分泌されるタイミングが分かると、血糖値の乱高下を防ぎ常に高いパフォーマンスを発揮しやすくなるというのだそうです。
(ちなみに前提として低血糖の症状がなぜ良くないかと言うと、空腹時と同じで集中力の低下やイライラ、悪化すると手足の震えなどが起こるからです。)
岡田先生の取り組み
また、岡田先生は遺伝子検査の結果を、単にそのアスリートに還元するだけでなく、競技全体に活かそうという取り組みをされています。
ご自身の愛好スポーツでもあるテニスにおいて、プロテニス選手に30名以上の検査をされています。
先ほどの筋線維の話だと、プロテニス選手の遺伝子には、中間の筋線維が多い傾向があるということが分かってきたようです。
それが実際の選手のプレースタイルとも一致しているそうです。
例えば、速筋系の選手だとアグレッシブに仕掛けていき、ロングラリーを避ける傾向があり、燃費が悪そうな感じ。
持久系の選手だと決めショットではなく、展開力やカウンターで勝負する傾向があるようです。
自分に合ったプレースタイルを知るきっかけとなり、競技をより楽しんだり強くなるための味方になりそうですね。
遺伝子検査の強みとは、その競技のテクニカルな面だけではなく、それ以外にも必要な水分の摂り方や日常生活の睡眠の大切さ、ケガにつながる因子など、強くなるために必要な競技以外のことを気づかせることができることだとおっしゃっていました。
今後も更に発展していく新しい形の選手サポートとして、どんどん需要が高まりそうです!
私は、とりあえず0歳の娘が大きくなったら受けさせてみたいです…
(ちなみに綿棒で口腔内の細胞を取るだけなのでうがいができたら検査できるそうです。)
また、岡田先生の日々の活動はInstagramからご覧になれますよ。
https://www.instagram.com/next.gene.tennis/
Q&Aコーナー
そして最後になりましたが、セミナーでお伝えしきれなかった
遺伝子検査のQ&Aコーナーです!
Q1)
BtoCの遺伝子検査は、反発する層も多く、特に日本ではなかなか普及していませんが、アスリート界隈の方々は、そのあたりの理解が比較的得やすかったりするのでしょうか?
A)
確かに遺伝子検査に対してネガティブなイメージを持っている方々もいますが、今のところ直接お話しした方々に関しては反発されたことはありません。ただ、プロ選手の場合は、所属会社などから断られることはあります。
Q2)
日本には米国の遺伝子情報差別禁止法のようなものがなく、お話にもあった「検査結果から、伸びしろが期待できないアスリートが入学を断られる」みたいなことが発生する可能性が否定できないかと思います。
このあたりの法整備について、スポーツ医療界の目線をお持ちの岡田先生が声を上げるとしたら、どのような提案をしますか?
A)
個人的には特定の遺伝子にて、競技成績が決まってくるものは、ごく一部(陸上100m走など)になりますので、私としては遺伝子検査の結果により、その人の競技に対してネガティブな情報を与えることはありません。ただ、その選手が世界1を目指すなどのモチベーションの場合では、結果として出ているデータは正確に伝える必要はあると思います。遺伝子検査の結果で子供の将来が限定される(場合によっては誤った情報によることもある)ような場合があり得るので、そのあたりは何かしらの方法(それこそ法律?)で制限する必要はありそうです。